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平成13年10月28日
秋田県雄勝郡羽後町「岩城堤ため池」で、ブラックバス捕獲大作戦を実施。
総勢35名による泥中の格闘の後、約2、000匹を捕獲・駆除。
一応の成果を得たものの、これで終わりではない。



 羽後町土地改良区は、この町の13.8kuの農地への農業用水の供給管理、取水施設、用水路、排水路の維持管理、貯水池であるため池の貯水・取水管理などを行う農業者の団体である。

 これら管理施設の中で「ため池」が、近年悩みの種となっている。農業との関わりならともかく、それは「生態系」にかかわる悩み、『ブラックバス』である。

 いくつかのため池が、外来魚であるブラックバスに占拠されつつあるのだ。
 ブラックバスは、羽後町土地改良区が管理するため池に密かに放流され、異常繁殖したバスが在来の小魚を食べ、これまで守り続けてきた豊かな生態系が崩壊の危機に直面している。

 また、本来ため池は、安全対策上、また水量管理や水質保全の面から部外者は「立入禁止」である。地区から選ばれた管理人以外は、取水ゲートの操作はできない。それが地元のルールである。ブラックバスの問題は、ため池の生態系に大きな影響を与えるだけでなく、釣り人による危険個所への立ち入り、ゴミの放置、などモラルの悪さも指摘されている。万が一事故が発生すれば、安全管理を問われるのは管理団体である羽後町土地改良区である。
立入禁止も効果無し。ゴミも散乱。 橋上から釣りする人々。道幅も狭く危険。



 羽後町は、秋田県最大河川である雄物川の上流部に位置する。
 これらのため池からの水は、農業用排水路、町内の数本の河川を経由して、雄物川に流下する。つまり、この地のブラックバス汚染が雄物川流域に広がる可能性を持っている。

 環境破壊の源と言われるブラックバスの流下元が羽後町のため池とあっては、地元住民にとってはとんだ濡れ衣だ。腹立たしいことではあるが、不本意ながらブラックバスの生息池となってしまった事実に対し、これ以上の広がりを阻止したいとの思いから、羽後町土地改良区は立ち上がった。





 ため池の管理者として、このままにしておく訳にはいかない。
 県が補助している「ブラックバス駆除作戦」に名乗りを上げたが、要望が多く順位待ちの状態であるため、土地改良区は独自に「秋田淡水魚研究会(通称、ザッコの会)」に相談した。結果、土地改良区がため池の落水調整を行い、ザッコの会会員と湯沢雄勝淡水魚愛好会及び地区釣具店を通じての協力者がボランティアとして駆除作戦を担当することでまとまり、実施の運びとなった。

 数カ所ある対象ため池の中から、今回実施したのは「岩城堤」。
 ここは、4年前に土地改良区単独でバス捕獲を行った際、相当数の数が上がった場所で、最もブラックバスの繁殖が多いと予測されるため池である。

 平成13年10月28日実施日を控え、土地改良区では急激な落水は下流に危険を及ぼすため、徐々に落水を行ってきたが、当日未明、取水口が部外者に閉じられるという事態に見舞われた。
9時過ぎには作戦開始の予定であったが、若干水量を増やしながら落水を調整し、池底が見えだしたのは昼、作戦開始は午後に入ってしまった。

 ザッコの会15名、湯沢雄勝淡水魚愛好会15名、その他協力者5名、土地改良区5名の計40名により、ブラックバス約2000匹を捕獲した。


立て看板も効果無し

立看板で作業内容を告知。
当日も朝から、廻りの準備をよそに
ルアーを投げ込む釣り人が数人いた。
作戦開始。
池底は、泥。捕獲作戦は泥との格闘。
かなりのバスが、泥の中に、確実にいた。
 ため池下流部の放水路。落水に紛れ込むバスをくい止めるため金網を張るが、当日の予定外の落水で水量が多くなり溢水箇所にも網を張る。
 ザッコの会の中の魚類研究者グループが、捕獲したブラックバスを、その場で解剖し、組織や食性などが分析された。
厳つい顔。口は自分の胴体ほども開く。
在来魚、同種のブラックバスさえも
丸飲みできるはずである。
バスの大物は、その場で解剖したが、小型のバスは標本として持ち帰り、じっくり生態分析を行う予定だ。

共食いの証・・・左の写真は、オオクチバスを解剖した胃の内容物。最も多かったのが、何と同じオオクチバスだった。杉山会長によると、鶴田堤では、バスの胃袋からネズミやカエル、オタマジャクシ、大砂沢堤では何と小鳥を食べていたという。
この日最大の成果。58cmの記録もの。
大量に捕獲されたブラックバス 最大58センチも、その場で解剖された。

なまず3匹、フナ、鯉も捕獲したが、いずれも成魚で、稚魚はいなかったが・・・
なまず、フナ、鯉は再放流。「がんばれよ」と思わず声をかける。
一部のマニアによって放流されたと思われるが、バスにとっては哀れな話だ。
最後は、敷地内に埋められてしまった。

ブラックバス駆除に参加した皆さん。ご苦労様でした。

 わたしたちがこれまで慣れ親しんできた自然が、変わるかもしれない危機に直面している。どこのため池にも、フナやタナゴ、鯉、エビ類、貝、水生生物が豊富であったが、ただ1種類のブラックバスによってその環境が壊れようとしている。

 一部の釣りマニアにのみ好かれるブラックバス1色の寂れた自然を残すことは、誰が考えても不自然である。壊れた自然を将来に残すわけにはいかない。
 そんな思いから、羽後町土地改良区はまず自分たちの管理するため池から行動を起こした。

 今回の岩城堤ため池だけに止まらないのが現実である。
 羽後町土地改良区では、今後も、第2、第3の捕獲作戦を検討しており、関係者への協力を呼びかけている。
 
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